美麗さんはやめるはず…だった
やめて普通の母親になるはずだった。
「…けど、」
「もしかしてそのCMが当たって、なんか有名な監督に目をつけられたのか?」
みちるさんが話していた
そうだったはずだ
母さんは頷いた
おれが知ってる事にあまり
驚いてないみたいだった
「…全部その監督のせいよ、みちるちゃんと潤君の運命が狂ったのも…まさか潤君も最後にCMが当たるなんて思わなかったでしょうね」
「なんていう監督?」
「一宮監督。もうお亡くなりになったけど知らない人はいないくらい今でも有名だわ…」
一宮監督…
「当時は彼にかかればどんな売れない人間も当たる、神様なんて呼ばれてたの」
母さんは 冷えたお茶を少し飲んだ
「…美麗さんがCMに出てすぐのことだった。反響が半端なくきて…まず一番先にオファーがきたのが彼だったの」
ゆっくりまた母さんは話し始めた

