ウラコイ2 銀幕の旦那様








「ぶっさいくな面」



「怜一さん…売れない理由が完璧すぎるからってどう思う」




怜一さんがビールの缶を開けたと同時に聞いた



彼は私の家にたまに泊まりに来るようになっていた



「完璧すぎる…ね。早い話が面白みに欠けてるって事だろ。なんだ、誰かから聞いたのか」


「昨日、槌谷君の彼女から聞いたの。ドラマの撮影で…自分は完璧すぎてつまらないから売れないんだって…」



ふうんといいビールをごくごく飲んだ



「弥生、お前はわからないだろうから教えてやるよ。完璧でいい演技をする人間なんてのはな大抵嫌われるもんなんだよ…」



「…それも言ってた、」



「弥生は彼女を上手いと思ったのは別にいいさ、それは弥生の主観だから。…でも演技の見え方なんて人それぞれなんだ、美麗て人間は完璧で頭のいい女優だ。彼女は要求以上のものをやろうとする、わかってるんだ。監督よりこうした方がいいと…けどそれがなかなか受け入れられないんだ。作り手側からしたらな」


「…そうかな、プライドが許さないからかな、理不尽だよ」




ビールの缶についた水滴を拭いながら言った




「出る杭は打たれる、役者があまりに優秀過ぎちゃあ監督もなにもかもいらねぇてなるだろ。じゃあお前が作ってみろって言われるのがオチさ…多少馬鹿のフリしてた方がいいんだよ、まぁそういう意味では彼女は不器用かな」