槌谷君には申し訳ないけど
諦めるには勿体ないと思った
ドラマの撮影が終わったあと
わたしは彼女と話せた
「あの…槌谷君と付き合ってますよね」
わたしが聞くと彼女は頷いた
「はい」
「…ケンカしていると聞いたんですけど、すいません。なんか…ベラベラ聞いてしまって…」
美麗さんは軽く目を伏せて言った
「いいえ。ケンカは確かにしています…けど私が悪いんです、ズルズル女優を続けて…しかも売れないから…わかってるんです。彼の言う事…」
「…失礼ですけどどうして、あまり仕事がこないのですか。あなたは別に演技は下手な訳じゃない。むしろ上手いのに…売れないって」
彼女は すこし笑って言った
「“完璧過ぎてつまらない”かららしいです。この業界は完璧な人間は売れないみたいなんです、あっちが要求した事をしてるだけなのに…。それに何かと私の容姿に問題をつけられるんです…美人過ぎる、主役より目立ってどうするんだって…」
「……そんなので、」
「仕方ありません…、」
マネージャーに時間よ と言われ彼女との話しは終わった
完璧過ぎてつまらない。
だから売れない…
おかしな理由だ。

