「またタバコ吸って…」
「いいじゃねぇか。嫌ならあっちいってろ…」
怜一さんはシッシッと手をふった
休憩室にはタバコの煙が漂ってる
「もう慣れたもの、大丈夫よ。わたしはあなたが心配なの…肺ガンになんかなっても知らないんだから」
「俺はタバコごときで死なないんだよ…」
わたしと怜一さんはまぁなんとか
恋人として付き合っていた
順調だった。
槌谷君の事はもう
いい思い出にもなっていた
ある日
ドラマの撮影でわたしは楽屋にいた
「田中さん。いまお時間大丈夫ですか」
外からスタッフの声とノックが聞こえた
「はい…大丈夫です、どうぞ」
失礼しますと入ってきた
スタッフの後ろに彼女はいた
「本日共演する子で、ほら…」
「美麗といいます。宜しくお願いいたします」
髪は黒で 背が高くて何より美人だと思った
「あ…こちらこそよろしくお願いします」
美麗さんはぺこりと頭をさげた
「じゃあ失礼します、」
ドアを閉めるとき彼女がふっと笑ったのが見えた
自分より綺麗でドラマでは
脇役だったけど華があった
現場でもミスはない
むしろ完璧過ぎるくらいだと感じた
おかしい
なんでこの人は
もっと有名にならないのだろう

