ウラコイ2 銀幕の旦那様




「聞くから、」




翔太君は目を伏せてはぁと息をはいた



風が頬を撫でる

暑いじめっとした生ぬるい風







「…うまく言えないけど、みちるさんを親父達に連れていかれそうで怖いんだ。だからおれは結婚を急いでる…」



「連れていかれる?」


「おれはあなたをいつも心配ばかりしてた。…あの事故で記憶は失うし、プールに落ちるし…、なんだか自分からあちら側に行きたがってるようで…」



自分からあちら側に…、

あちら側
父や怜一さんのいる…





「それはごめんなさい…、けど理由があって。」



「わかってる…みちるさんを責める訳じゃないよ。何事にも理由はある、けど…あなたは人を大事にし過ぎている。それは悪いことじゃない。けどその気持ちがいつか、あなたを押しつぶして。…気付かないうちに自分で自分の首を締めてるんじゃないかて…まるでそうなることを望んでるみたいで…」





ごめん なんかうまく言えないと


翔太君は言葉を切った




私が私の首を締めている-











人を大事にしすぎる


悪いことではない…





けどそれは自分を大事にしてない


粗末に扱っている事と同じなの?




私はわたしを大事にしてる





あちら側にいく気なんてさらさらない…に決まってるのに