「…なにか訊きたいことがあるんですか?」
「え……」
工藤さんはふっとタバコを灰皿に捨てた
「勘ですよ。なんとなくです…ないなら構いませんが」
訊きたいこと
「じゃあひとつだけ。工藤さんは…目の前にいる大切な人がいなくなりそうになったらどうしますか?」
「…どんな手を駆使してでもその人を助けます。まぁ本人がそう願うなら無理ですが、押しとどめようとしても結局はいってしまうものです…」
淡々と工藤さんは話した。
「…」
「訊きたいのは槌谷さんのことですか?確かにいなくなりそうな気配はします…本人が、気付いてないのがまたタチが悪い。」
頭のいい人だ
「何故…」
「ああいう人間を知っているんです、才能もあり活力に溢れている。だが一歩間違ったらあちら側にいってしまう。そのきっかけは彼女が気付かないだけでそこらじゅうにある…」
そう 危うい
だから おれは彼女が
きっかけに
気付かないように目隠をして
いなくならせないようにしたい
「……でも神田さん。なにも分からない人間を理由なく引き留めることは出来ない。なら-………-」
工藤さんは 言い
にこりと笑みを浮かべた

