「…あ、そうだ。槌谷さんがお前を探してたぞ、」
「それを先に言えよ!」
市村はケラケラ笑っていた
彼女のおかげで俺は気づけた
大事なこと
とても簡単でなのにむずかしい
“たったひとりをずっと幸せにすること”
休憩室を出て彼女を捜す
「町谷さん、槌谷さん見ませんでしたか?」
「みちる?さっきスタジオの外に行くのを見たけど…」
「ありがとうございます」
「相変わらずお盛んで羨ましいわね。」
皮肉を言い あっちよと指差した
礼を言い彼女を探す
スタジオの外は暑い
走ったらすぐ汗がでるのでうざったい
「み…槌谷さん?」
「あ…神田くん」
建物の陰になってるところに彼女はいた
だれかと電話をしていたらしい
携帯を握っていた。
「どうしたの?」
「探してたって聞いたから。市村に…なにかあった?」
「あ、そんな大袈裟なものじゃなくてちょっと会いたかったの、」
自分を見上げる彼女の顔をいつも通り笑ってる
撮影で見てるのとはまた違うのだ
彼女がみたいのは俳優の自分じゃない

