ウラコイ2 銀幕の旦那様

〈翔太目線〉




「神田」



「…おお市村か。」





市村は台本を横から眺めていた

コイツは台本は持たない
台詞は全部覚える



ガキの頃から
たたき込まれて身に付いてる…





「なにか用か。」


「いや、お前よく台本読んでるなぁ…て」


「お前ほどじゃないよ。そういえば…一条さんとはなかなかいい感じだったなぁ」



市村は苦笑した
監視してたのかよと言った


「まさか…。たまたまみた時話してたから、そうかなぁて思っただけだよ…?」


「うまくやるようにするよ。探り探りだよ…今は、」




市村は親父さんがきて
話しをしたのが効いたのか

一条さんとも話すようになった

まだ好きとかいう気持ちは
わからないらしいが…



随分な進歩だと俺は思う





俺もずっと前は市村みたいな考え方だった


適当に恋愛してあきたらやめて


それで恋愛している気になっていた









なんてバカな考えだったんだろう










あなた子どもみたい…


そんなんだったら本当に
欲しいものすらも分からなくなるわよ…?








そう あの人は言っていた

俺がまだ十代だった頃会った


きれいなあの人



彼女は見抜いていた
俺すら気付かない自分の本質を