傲慢で余裕で有名俳優の息子
普通だったら
わたしには目もとめない
なのに…
彼は
わたしを見つけてくれた
もっといい人がいたかもしれないのに…
あいしていると言ってくれた
わたしの為に泣いてくれた
優しいあのひと
あのひとは結婚したがっていた
“結婚”
「結婚って幸せなことなのかな…」
「…槌谷?」
「すいません。考えてしまって、なんかいろいろ。気にしないで下さい」
わたしはスタジオを駆け足ででる
こういうことは千広先輩には
話すべきじゃない
きっと 翔太君と話すべきなのだ
でもいま重要なシーンを撮っていて
夜にもなかなか会えない
美帆にでも話してみよう
そうしよう…
振ったのに困った時だけ
頼るなんて むしがよすぎる
甘えちゃいけない
好意もないのに中途半端に
優しくするのが一番残酷よ…

