ウラコイ2 銀幕の旦那様




「なに睨んでんのよ、」

「べつに…」








美帆さんは そういえば
用事あったわと席を立った



「…座ったらどうですか」



ずっと立ったまま
市村さんはあたしをみた



無表情な顔をしている
役の時はあんなヘラヘラしてるのに…



「失礼します。…」


「…槌谷さん君の義理のお姉さんなんだって?神田に聞いたらようやく話してくれたよ」



「……そうです」



「言いふらしはしない…黙っていれば分からないよ。」



あっさりと市村さんは言った



「ありがとうございます。…あの市村さん、靴べつにいりません。迷惑ばっかりかけたのに、靴買って貰うなんて…」



「……」



「それに、ヒールのある靴履かないのは無理です。少しでも背を高く見せたいんです……わたしはせーぜー転けないように頑張りますから…」



くくくと笑った



「気の強い人だな。素直に頷いたらいいんだ。あげると言ってるんだよ。受け取るだけでいい、…俺はおしゃれするなと言ってる訳じゃない。転んでケガでもされて撮影が長引くのが嫌なだけだ」



お茶を飲んでふっと息をつく



変な人











あの日を思い出した

スタジオから逃げ出したあの日




無意識に南座近くにきていた


市村さんが明日南座で
稽古があって来れない…

というのが頭に残ってたからだ