「なんかそれで、女も男も嫌いになって…。こういう性格だから演技もクサイとか思って出来ないし、ならいっそ裏方で目立つ仕事しようって…思ったの…」
「そうなんだ。」
一条妹はあからさまに落ち込んでいた
「…確かに夢を持ってる人間といると感じるわよね、惨めさを。でも、適当に選んだ道でも“やりがい”ってのが見えてくるようになるわよ。うまくいかなかったら次はこうしようってヤツ…それを頑張っていって。そうして積み重ねてったら惨めさなんて感じなくなるわよ…」
夢を持ってる人
あたしに
とってその人はみちるで
学生の頃はみちるを
嫌ってケンカしたりもした
あの子のそういうぶれない精神
が羨ましくて仕方なかったのだ
「“やりがい“かぁ…」
「あなたにもあるでしょ…?がんばりなさいよ。失敗してもいいのよ、まだ若いんだからやり直しなんかね、いっくらでもきくんだから…」
ぽんと頭を撫でた
「うん…ありがと。」
「いいわよ。」
いろいろなにか
思うコトがあるのだろう
「…ていうかこの道選ばなきゃちぃ姉に出会えなかったんだもんね、あたしも美帆さんも」
「そうね。」
もし違う道をいったら
彼女には会わなかった
ふふっと二人して笑った
ちょっと気持ちが軽くなった気がした
〈目線終わり〉

