芸能界に入ってそれはますます身に沁みていった
我慢して、受け入れられる人間になる
認められる人間になる
それだけなのに
いまもまだなれない…
どれくらい努力して
どれくらい我慢したらいいのだろう…
きっと途方もない
呆れるくらいの長い時間がいるのだろう…
「神田さーん」
「はい。今行きます」
親父は…どんな風に考えていたんだろうか…
「あれー槌谷さんはぁ?」
「なんか監督の用事で東京に戻ったらしーですよ」
みちるさんそういえばいないな
監督の用事か…。
「神田弟。」
「町谷さん…」
町谷さんは すたすた走ってきた
「なによ今日調子悪いわね。何かあったんでしょ、聞かないけど」
「はい…。そういえば町谷さんは大丈夫ですか?昨日凄い飲んでた気がするんですけど…」
「…朝方吐いたからだいぶ楽になったわよ。そういえばさっき監督と話してたわね、珍しく長く…」
僕にこういう事を言う資格はないんだ…
「親父の事です。本当によく似てるって…似てますかね。」
町谷さんはさぁと言った
「あたしはみちるほど彼を知らないから分からないけど。…似ててもいいんじゃない、親子だもの」

