「海江田監督は…父を…ご存知なんですよね。」
撮影中にちらっと
演出の人から聞いた小話…
監督はそうだねぇと呟いた
「僕がまだ監督になったばかりの頃に映画か何かに出てくれた事があったんだよ。…」
「……そうですか。」
「自信満々で弱みなんかなくて、いつも強気で出来ない事なんかない男だと思った。…話したら中身はただの芝居馬鹿な男だった。だからおかしいと思ったら容赦なく監督につっかかって…、僕もよく言われてたよ。」
目を細めながら海江田監督は話す
いろんな人から聞く父の話。
皆、父は素晴らしい俳優
だったと口を揃えて言う
「反論したらしたでうまく話して僕らを納得させる。…そういう人だった。けれど、みんなが皆彼を好きじゃなかった。…彼のそういう所に納得のいかない人もいて、嫌う人もいた。」
「彼はすごい役者だったよ。実力もあって若くて…人を惹きつける力を持っていた。若くして亡くなったから伝説になってしまった。…彼はもういない、けれど彼にそっくりな息子がいる…だからみんな期待してしまう。」
海江田監督は 俺を見てふっと笑う
いま、この人の目に
うつっているのは俺なのか
それとも父なのか…

