「……にしても神田弟は大分演技きれてきたわね。神田怜一の全盛期に近付いてきた感じ…」
美帆は台本を
めくりながら呟いた
「でも……なんか怖かったんだよね、そんな感じしなかった?」
美帆はさぁと首をひねった
「確かに、怖さはあったけど役だからよ。あんた話たんでしょ、優しくなかった?」
「優しくなくはなかったけど…」
「…なによ。」
千広さんのことは
前から言っていたのに…
「……よくわからない。頭ぐちゃぐちゃするー」
畳にごろんと寝転がった
「…あんた28でしょうが、何でも上手くやっていきなさいよ」
「無理です…。」
28だろうが25だろうが
悩みはあって……
上手く処理
するには中々難しい。
そんな
器用にいきれない…
「ちょっと神田弟!久しぶりね」
「久しぶりです…。町谷さん、どうかしましたか」
神田弟は旅館の
中を散歩していた
よかった早く見つかって…
「…なんかみちるがあなたが怖いって、別に怖くないのに。何かあったの?」
「なにも…、」
「ふうん、もしかして他に彼女でも出来たの?別にみちるには言わないわよ…」
かまをかけてみる
神田弟は首を捻る

