……言ってくれた。
女優にならなくて
いいと言ってくれた
「みちる。」
「あぁ…ぼーとしてた。準備しなきゃ…やばやば…」
きっと 引け目は
どう言ってくれたって
消えない…
翔太君が言ってくれたけど
「―はいカットね!」
今日も撮影がはじまる
海江田監督はカチンコをカンとならす
「神田君ーその感じの"藤堂"でよろしくね、めぐみさんはもうちょっと可愛くねー」
「はい…」
「気をつけます…。」
二人は 海江田監督の
方を見ながら返事をした
「疲れたなぁ…長回しだったし。槌谷…?」
千広先輩は 私が翔太君を
見ているのに気づいた
「……そんなに好きなのか?」
「あ…その、すいません…。」
謝るなと言われたのに
また謝ってしまった…
「…槌谷が惹かれるのも分かる気がするよ。俺でも一瞬見惚れそうだったよ…」
男だけどな…と笑った
「『くじら』を撮り終わったら、彼はもっと忙しくなる…、実の親父よりも凄い俳優になる。…まぁ憶測だけどな…」
「……そうだといいですね。」

