バイトの時間は朝の7時から夜の10時まで。

バイトの人たちは、大体前半後半の4~8時間位のシフトで入っていたけど、とにかくおカネが欲しい私は無理してMAXで入れて貰った。

「椎名舞香ちゃん。はい、お疲れ!これ今週の分」

封筒の中身を確認する。

1週間で約6万円。

すっごい働いたな~。

良かった。

これで、今週は大丈夫だ。

次々とバイト達の名前が呼ばれて、みんなアルバイト代を確認していた。


「っと、久留生海斗(くりゅうかいと)……は、休みか」


くりゅう、かいと?!


私はその名前を聞いてドキリとする。


まさか……まさか……あの久留生海斗?!


胸の奥にキリキリとした痛みと憎しみが沸き起こる。



人生最悪の時に出会った、最低の男。



そいつの名前こそ久留生海斗だった。


滅多にその辺に転がってる名前なんかじゃない。


まさか……
まさか……だよね。



「ねぇ、椎名ちゃん。せっかく、バイト代も出たことだし……明日、俺とデートしない?!」

考えに耽っていると、バイト先で一番チャラいナンパ君、違った……難波君のお誘いに思考が遮断される。


実はうちは母子家庭。
バイト代は1円だって無駄には出来ない。


私は、キッと振り向くと、営業スマイルで微笑みを返す。


「難波さん、すみませ~ん。私、明日、病院に母のお見舞に行かなきゃ、なんです」

「えっ?!何?お母さん、入院してるの?」

「ええっ?!何々??」


周りのみんなが一斉に振り向き、質問を浴びせてくる。


「それなのに、バイトなんかしてて大丈夫なの?」


何言ってんのよ?

だから、バイトしてるんでしょ!

子宮筋腫の手術とかで、特に命に別状がある病気じゃなかったのは幸いだったけど……。

これからも入院代とか学校の授業料とか学校までの交通費とか、食費とかとかとか……。


とにかく、私はおカネが必要なんです!

ったく!

花のJKなのに……

バイトバイトで、恋どころじゃない!!