「…茉莉、開けて」 インターホンから聞こえた彼の声は雨に濡れて湿っていた。 合い鍵を渡したのはいつだったっけ。 「遠矢」 ドアを開けて入ってきたのは雨の匂いと彼。 「茉莉、ただいま」 「…おかえり」 まるで新婚みたいにおかえりのキスをして遠矢の持ってる鞄とコートをソファに投げた。 「ちょ、雑に扱いすぎだろ」 あはは、あたしは屈託なく笑ってテレビの前にくつろいだ。