「ただいま・・・・・・」
こうして、ただいまが言えることもありがたいことなんや。
お母さんがおらんかったら、誰もおらんし部屋の電気もついてないんや。
「あ、萌ちゃんおかえり」
いつも通りの返事。
「プリンあるから食べる?」
お母さんは冷蔵庫を開けてそう言った。
「プリン?」
「たまには甘いものも食べやな勉強もはかどらんやろ」
テーブルに置かれたプリン。
駅前のケーキ屋さんの美味しいプリン。
小さい頃から大好きやった。
「お母さん・・・・・・昨日はごめんなさい」
紅茶を運んでたお母さんの手が止まる。
「え・・・・・・あ、お母さんこそごめん。萌ちゃんの気持ちも考えんとごめん。お父さんも悪気があったわけじゃないねん。ごめんな」
私は・・・・・・
目からこぼれる涙を、止めることができんかった。

