「じゃあ、今日はこの辺で。次、いつにするか決まったら言いに来て」
ノートをパタンと閉じて、私の手の上に丁寧に乗せた。
さっと立ち上がる黒岩を、目で追う。
「明日!!!!明日はあかん??」
大声が出た。
「明日?あかんことない。そんなにやる気になってくれて、俺もめっちゃ嬉しい!!ほんまに頑張れるのって、人生の中でそんなにあるわけじゃないねん。じゃあ、明日待ってるから!」
さわやか好青年みたいな、キラッキラした笑顔で、黒岩は出て行った。
明日の放課後。
また話せる。
また会える。
黒岩と私のふたりっきりの秘密の補習。
「はぁ~」
嬉しすぎて、変なため息が出る。
さっきまで座ってた黒岩の場所に座ってみたり、黒岩が使ったペンを握ってみたり・・・・・・
信じられへんくらい、私は恋をしてしまった。
だから・・・・・・
頑張る。
正直、この恋が実るなんてこれっぽっちも思ってない。
私は子供やし、黒岩は大人やし、先生やし。
でも、何か残したいって思った。
黒岩を好きになったことで、私の人生がいい方向へ変わるなら・・・・・・
結ばれんくても、一生残る。
黒岩を好きになって良かったってずっと思っていられる。

