月は太陽に変わり、日暮れが近づく。 崖が小さく見える。 海面から顔を出し、拓也の存在を確認する。 崖の下にも砂浜にも人の気配はしない。 「まだ来てない…か」 魔薬の小瓶を握る右手に力が入る。 まだ少し遠い崖に向かって泳ぎ始める。 「ソフィアっ!」 冷たくて低い私の嫌いな声。 「お父様!?」