下がってきてしまった制服のズボンの裾を、再び膝まで捲り上げながら思う。 いくら目を凝らして辺りを見回しても声の主らしき女性は見つからない。 仕方無く探すのを諦め、釣りをする為に崖の先に腰を下ろす。 崖で釣りをするのも、BGM付きで釣りをするのも初めてだった。 気持ち良く体を揺らしながら釣り針に餌をくくり付け、静かに波打つ海へ投げ込んだ。 「きゃっ!!」 釣り針を海へ投げ込んだ瞬間、歌は消え、代わりに女性の悲鳴が辺りに響いた。 俺は慌てて四つん這いになり崖の下を覗く。