そのノートに表題はない。 簡素な、パッと見た感じではただの学習ノート。 けれど中に記してあるそれは誰にも見せられない。 見せるつもりもない。 折り目のついたページを開くと中には無数の文字の群れ。 形成するは殺意。 幾つも描いた、七千の殺害方法。 その一つを確認してから私は大きく息を吐き、ノートを閉じた。 ヒエラルキーなどいらない。 私だけでいい。 私さえいれば。 「白ちゃ~ん?着替え終わった?」 七千の呼ぶ声に私は「今行きます」と短く答え。 静かにノートを本棚に戻した。 ★ ★ ★