ケータイ小説作家に恋をしました。


涼太はジリジリと後退する孝志の腕を、ガシっと力強く掴んだ。

「待て、違うんだって…」


「じゃ、じゃあその"アニキ"を置けよ…」

孝志の視線も、店員の視線も涼太の手元に釘付けになっていた。


「あ、あぁ」



涼太と孝志は、店員の熱い視線を背中に受けながら、急いでコンビニの外に出た。

そして、"アニキ"の本を買おうとしていなかった事を、延々と説明した…


「なるほどな…
そうまでして、たかだか感想くれただけの、ケータイ小説作家の本が欲しいのか?

俺にはよく分かんねーなぁ…」


「馬鹿だなぁ孝志…
愛はな、二人の仲を引き裂く大魔王を倒してだな…」


「分かった分かった…
もう、大魔王でも大食いチャンピオンでも倒してくれ!!

とにかく、バイトがしたいんだろ?
俺の親戚に、引っ越し屋がいるから頼んでみてやるよ」



それから5分後、孝志が電話をしてくれて、土曜日に日当8千円のバイトが決まった!!



しかしこの時涼太は、孝志が2千円ピンハネしている事など知るよしもなかった…


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