しばらくして、

それまで石みたいに動かなかった梨央菜が

顔をガバッと上げた。

僕は涙が止まらなかったけど、

梨央菜は泣いてなんかいなかった。






「30%?それ...私のときの確率と一緒だよね。
 じゃあ助かるよ!大丈夫だよ!」

弾けるような笑顔で僕にそう断言する梨央菜。

「...本当に?」

「本当に!!私がついてるもん!!」

元気よくそう言う梨央菜に、

また涙腺が刺激される。





「僕...前まで生きる意味なんて
 無いって思ってた」

「......うん」

「でも、梨央菜と出逢った」

「...」

「こんな身体だけど、守りたいって思った」

「うん...」

「初めてなんだ。そんなふうに思えた人」

「......」

「生きたい......」







梨央菜はそっと僕を抱き締める。









「生きたいよ............」
















厳しい現実が僕らを突き刺す中、





春の暖かい風だけが


僕らを優しく包んでくれていた。