「...晴?」
梨央菜が驚いた顔をしている。
.......あぁ。
僕、泣いてるんだ。
穏やかな気持ちだったはずなのに、
熱い涙が止まらない。
僕はたまらず梨央菜をきつく抱き締めた。
そして、優しくキスをした。
「......晴?」
伝えなきゃ、
いけないことがあった。
「僕...来週手術なんだ」
「え......」
「思ったよりも病気の進行が早くて...
早く手術しないと、死んじゃうって」
梨央菜は僕の胸の中で
固まったまま動かない。
「それで...珍しい病気だから、
あんまり手術の情報とかがなくて。
すごい難しい手術らしいんだ。
僕は詳しいことは分からないけど...」
梨央菜は、
動かない。
「成功する確率は、30%だって」
聞いたときは、
あまりにもリアルな数字だったから
受け止めざるをえなくて。
生きる意味なんてないって思ってたけど...
今は違う。
こんなにも大切な人がいる。
守りたい。
愛したい。
ものすごく、
生きたい。

