「結婚してください。」
それは手術前。
手術室に運ばれるベッドの中から、
心配そうに僕を見つめる君への、
プロポーズ。
ごめん、梨央菜。
成功しなかったら、
僕の死を、プロポーズを
君はずっと引きずっていくんだろうけれど。
それでも、
伝えたかったんだ。
「......当たり前!」
梨央菜が涙を目にいっぱい溜めて、
笑う。
「ばーか。強がり梨央菜」
「強がってないもん!」
梨央菜が握らせてくれた
四葉のクローバーのお守りは、
すでにしわくちゃになっているけれど。
「行ってらっしゃい、晴」
「行ってきます、梨央菜」
愛を、信じて。

