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「…はぁ。」


目を瞑りながら思う。
杏花に会って杏花を知るたびに、ため息の数が増えた。
何故かはわからないが、嫌ではない。

…それにしても、あそこで恵里佳と遭遇するとは思わなかった。最後の捨てゼリフを思い出す。


「…はは。」


笑いながら、腕で目を覆った。

俺は何をしていたんだろう。
優しくしておいて、最後には突き放して。
きっと、一番酷いことをしてる。


「…ばかだなぁ、俺。」


笑ってほしいと言いながら、泣かせてるのはきっと俺だ。
笑ってほしいと言いながら、傷つけてるのはきっと俺だ。
結局俺は、何もできない。



…〜♪


携帯からメール受信のメロディが流れる。
ヒカリからの催促かと思い、眉間に皺を寄せ目を細めながら携帯を開け、送信者の名前を見る。
表示されたのは、『澤木』。



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