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■理由






甘く、響くように。








「今日のデザートはこちら。」


俺はそう言いながら、手に持った白い箱を開ける。
瞬間、亜也から歓声が上がった。


「モンブランだー!」


「きゃー」とか言いながら、パチパチと手を叩いている。
その反応に俺は笑い、紙皿にモンブランを一つずつ乗せ、プラスチックのフォークとともに一人づつに渡していく。


「いただきまーす!」


その掛け声とともに、見目麗しいモンブランに豪快にフォークが突き刺さった。
見る見るうちにぐちゃぐちゃになっていく美しいモンブラン。
…こいつらのケーキの食べ方は酷いと思う。
穴が無数にあいたモンブランが勿体無い…。


「澤木ちゃん食わないの?」


ヒカリの声に、そちらを向く。
亜也の隣に座っている杏花は、何やら難しい顔をしてモンブランとにらめっこしていた。


「き…澤木?」


名前を呼びそうになるのを抑えながら、彼女の顔をのぞき込む。


「…千明。」


「何?」


何やら神妙な顔をして俺に話しかけてきた。


「これ、買ってきたんだよね?いくら払えばいい?」




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