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■蜂蜜色






「愛してる」


この言葉を何人の女に吐いただろう。
勿論そんなことを自問しても、答えが出るはずもない。
ただ、そう言えば、相手の機嫌をとりやすいし、喜ぶし。
多分、今日も言うんだろう。
顔色変えずに、いつもどおり笑って。
何の感情も、込めずに。







「ちぃちゃん、おはよ!」


学校。
後ろから抱きついてくる女子生徒が少し声を高くして言った。
顔は見たことがある。名前は覚えてない。
とにかく笑って、おはようと返した。


「今日暇ぁ?一緒に遊び行こ?」


腕に巻き付いてくる女子生徒からは、甘ったるい香水の匂いがする。
はっきり言って、うっとうしい。
振りきって睨みつけるのは簡単だ。
なのに、その簡単なことが俺には出来なくて。


「んー、今日ダメ。先客あるから。」


だから、嘘というワンクッションをおいて、優しく突き放す。
まだ、マシだ。


「えー、またぁ?
もう!何人と遊んでるのよ。」


機嫌を損ねたらしい女子生徒は頬を膨らませて言う。


「ごめん。また今度ね。」


俺はいつもどおり、笑って見せた。



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