「…どうしてですか?」
私の問いかけに戸惑う奈央子さん。
「昨日の夕方、奈央子さんの部屋で男の人と女の人が言い争う声を聞いた人がいるんです…。」
私は奈央子さんの目を見た。
「…そうですか。実は…昨日、健一郎さんと口喧嘩をしてしまって。」
奈央子さんは顔を背けた。
「口喧嘩を…?その時、星斗君は?」
私の言葉に奈央子さんは顔を横に振った。
「星斗君は居なかったんですね…。奈央子さん、貴重なお話ありがとうございます。また後で詳しい話聞かせていただけますか?私、ちょっと部屋に戻りますね。」
「ぇぇ。」
私はダッシュで部屋に戻る。
敬太、あなたはどうして人に弱味を見せないの―?
何を恐れているの―?


