部屋には重苦しい雰囲気が流れる━━━…
金田さんの話を聞いて、
とてもやりきれない気持ちになったよ。
金田さん、あなたは…
何か…別の…違う形で妹さんを救える方法があったはずです。
留依奈さんにとって、
お兄さんの金田さんは
ピンチの時に助けてくれる
とても心強くて、信じられる
“ヒーロー”
なのだから。
重苦しい雰囲気の中、鬼下刑事が口を開く。
「金田さん…病院の看護師さんが言ってたのだが。
妹さんはこう言ってたそうだ。
“お兄ちゃんは…私のヒーロー…、ダメだよ、ダメだよ、お兄ちゃん…”
って何度も、何度も。言ってたそうだ。
妹さんの最後の言葉
“お兄ちゃんって…ヒーローみたい…”
の意味をもう少し考えるんだな。
彼女は…もっと違う言い方をしたかったんじゃないか?
例えば…“お兄ちゃんは…私にとって最高のヒーロー”とかな。」
「留依奈は知ってたんだな…。俺が事故を起こした事。俺は、留依奈のヒーローには…なれなかった…」
そう言って、金田さんは崩れ落ちた━━━…


