「…そうか。だから…」
敬太が小さい声で呟いたのが聞こえた。
私は、話を続ける…
金田さんを見据えながら。
「金田さんは、第一発見者になる事で、自分が容疑者になる事を回避しようとしたのです。きっと、敬太が持っていた折りたたみ傘を見て…第4の事件を思い付いたのだと思います。」
「……そうか。」
鬼下刑事は煙草を吸いながらボソッと言う。
金田さんは相変わらず
不敵な笑みを浮かべていて━━━…
私に挑戦するような…
細めた目をしている。
それは、私が知っている金田さんではなくて。
ゾクリと背筋が凍った━━━…
私は鬼下刑事を部屋の隅からひっぱり出し━━━
敬太役をやってもらう。
「健一郎さんが倒れる中で、きっと金田さんは敬太にこう言ったんです。
“誰か呼んできて”と。
そして━━━、敬太が金田さんに背を向けた瞬間。
敬太は襲われたのです。」


