「なるほど…」
鬼下刑事は低い声で呟いた。
「…では、話を戻しましょう。健一郎さんと金田さんは、ある理由で口論となった。…その時、金田さんは後ろから誰かに襲われた。」
私は続けて話す。
ホッとしている様子の奈央子さんに向かって━━━…
「奈央子さん……。あなたは…敬太ではなく…金田さんを襲いましたね?」
「え?」
奈央子さんは、俯いてた顔を上げ…私を見る。
「金田さんと健一郎さんが言い争っている時、あなたは部屋に入ってます。
その時に…咄嗟に金田さんに…襲いかかった。」
“奈央子さん…
星斗君を大切に育てている、心優しい…あなたなら、きっと━━━━…”
そんな事を思いながら、
奈央子さんを見つめた。
奈央子さんは鋭い目で私を見る。
「やめてください!私が…金田さんを…殴れるわけがありません。178センチの敬太君を殴れない私が…ッ!180センチ以上ある金田さんを殴れるわけが……ない…」


