鬼下刑事は私の言葉に
目を大きくして言う。
「全く持って…意味が分からないんだが?」
「金田さんは、敬太を襲った犯人を……奈央子さんだと推理したんです。
でも、それはあり得ない事なんです。」
「え…」
「奈央子さんが…?」
「そんな…」
部屋は
一気に騒めき━━━…
「わ…私は何も…!」
そう言いながら、
後ろの方にいた奈央子さんは、前に出てくる。
「はぃ。敬太を殴打した犯人は奈央子さんじゃありません。」
私は奈央子さんを見る。
私の言葉を聞き、奈央子さんは大きく呼吸をした。
「身長が150センチの奈央子さんが…178センチの敬太の後頭部を、凶器を上から下に振り下ろして殴るなんて無理なんです。」
私は、鬼下刑事の所に行き、ベッドの横の棚にあった小さいペットボトルを持つ。
そして━━━…
ペットボトルを振り上げ…ゆっくりと振り下ろすが。
身長160センチの私が、
185センチの身長の鬼下刑事の頭を殴ろうとすると…
上から下への衝撃ではなく、自然的に後ろから前の衝撃になる。
「こんな風に。」
コツン…
ペットボトルが鬼下刑事の後頭部に少し当たる。
「だから、敬太を襲った犯人は奈央子ではないんです。」


