そして、
俺と弟が離ればなれになる朝━━━
東京駅━━━
シトシトと…
悲し雨が降っている。
『敬太ぁぁぁ!嫌ぁぁぁ!』
弟が泣きじゃくっている。
昨日の夜、離ればなれで暮らす事を弟に伝えた。
『泣くな!』
と弟に怒るも、自分も泣いている。
『嫌だよ―――敬太ぁぁぁ』
『俺だって…嫌だよ…。星斗?今は離ればなれになっちゃうけど、また暮らそうな。』
俺はそう言って…弟の頭を撫でた。
『また…暮らせる…?』
弟は腫れている目で俺を見る。
『ああ…3年後。俺が高校を卒業したら…一緒に暮らそう。星斗と一緒に暮らせるように頑張ってお金貯めるから。また、綺麗な海…見に行こうな。』
俺は弟に1枚の写真を渡す━━━
『…うん。』
『じゃあな。』
『敬太ぁぁぁ!』
再び泣きじゃくる弟を背に…俺は新幹線に乗り込む。
ドアが閉まる合図と共に、俺と弟は離ればなれになった━━━
弟は親戚の人に抱き抱えられ、手を伸ばして“離れたくない”と訴える。
俺は…作り笑顔で弟に手を振った…。
弟がお世話になる親戚の人に頭を下げる━━━
新幹線は動き始めた━━━
『敬太ぁぁぁ!』
最後に弟の声が聞こえたんだ。


