「何…ですか?」 「健一郎さんの事なんですけどね。妙なんですよ。」 そう言って、鬼下刑事は煙草に火をつけ、遠い目をする━━━ 「妙…?」 「はぃ。大河原さん、健一郎さんはどこで襲われたんでしたっけ?」 まるで、私を試しているかのような言い方。 「…部屋を入った…突き当たりの窓際です。」 私は鬼下刑事を睨んだ。 そんな私の視線を無視し、鬼下刑事はまた、私を試す。 「そうだ。窓際で襲われたって事は当然、外傷の位置は前頭部となる。しかし、外傷は後頭部にあるんだ。どうしてだと思う?」