ブラック or ホワイト




敬太が警察に連行される事は、自分の中では覚悟は出来ていた。

でも、いざ、敬太が連行される状況になると…
怖くて、不安で仕方ない━━━


「あやっぺ…」

敬太の足がピタっと止まる。

「何?」


・・・



時が止まったような感覚。


「敬太…!」


私は走って敬太に飛び付く。


敬太の顔を見た瞬間。
私は知ってしまった。

恐怖に歪んだ顔と震える足。

敬太は私よりも遥かに怖くて、不安な気持ちでいる事を。


私は強く敬太を抱き締める。

「私…弱くて…ごめんね。敬太の方が辛いのに。絶対に…本当の真実を…見つける…からね。」

私はもう、涙が止まらない━━━

「俺の方が弱い男や…。ありがとう、あやっぺ。泣き止めや。あやっぺの可愛くない泣き顔なんて、見たくない。…笑って?な?」

「可愛く…ない…泣き顔で…」


「彩紗…可愛いよ…」

私の言葉は敬太によって遮られる。

敬太のその言葉に
私の視界は更にぼやけた。

「何よぉ…もぅ…。」


敬太は私の体をそっと離した。

そして、
私の目を見て言った。