驚いたけど、いやだとは思わなかった。


むしろ、とても安心して、男の体にしがみついて余計に泣いた。


そしたら、男はもう「どうしたの?」とは聞いてこなかった。

かわりに、やさしく抱きしめてくれた。

「なにがあったかは知らねーけどさー」

ぽん、ぽんと、まるで赤ちゃんをあやすようなリズムであたしの肩に回した手を動かしながら、男が言った。

「クリスマスって奇跡が起こると思うんだ」

「奇跡…?」


「だから、なんか辛いことがあったのかもしんねーけど、いいこともあるかもよ?」