朝を迎えるなり、俺達はすぐに民宿を後にした。

目指すは砂の町“サザルツ”

どうやら中央都市アリエスタは王国騎士団の手に落ちたらしい。
民宿の宿主がなにやらそう騒いでいたのを、オズが聞いた。


「ぶぇっ、砂が口の中に…!」


西に向かうにつれ、砂漠があるせいか…視界は見づらくなって細かい砂が沢山飛んでくる。
ギャーギャー喚くオズに溜め息を吐きながら俺は足を進めた。

それと、もう一つ。
おかしな事が起こっている。


「おい、フラン…大丈夫か?」


「…え!?…ええ、だっ…大丈夫よ。」


そう、こいつ。
昨日からろくに目も合わさないし、話そうともしない。

一体何のつもりなんだ?

全く理由が分からないまま俺は少し不愉快になってくる。
昨日オズが変な物言いをしたから一発殴ってやったが、特に何もしていないらしいし…。

もしやバスルームで俺にカツラを投げてきた時から?

いやいや、そんな馬鹿な。

確かに慌ててはいたが、アレが原因だとも思えない。


怒っているのか?調子が悪いのか?

でも朝飯はがっつり口の中に入れていた。

…わからん。
一体何を考えてやがる。


首を傾げながら歩く事数時間。
辺りは完全に砂漠になっていた。


「暑い…。」


砂を踏みしめる度に、伝う汗。
水を飲んでも乾く喉。


次第に話すことも辛くなって…全員が無口になっていく。