「片岡和人・・・か」

私は『ルームシェア募集中』の張り紙を大学の掲示板から剥がすと、メールで連絡を取り、彼が指定したマンションへと向かい、目指す部屋の呼び鈴を押した。


「はい。どちらさん?」
「あのぉ。ルームシェアの張り紙を見てきたんですけど・・・」


鍵を開けて中から出てきた男性に私は息を呑んだ。


・・・か、マジかっこいい・・・・・・。


野性味がある独特な声といい、澄んだ黒目がちの瞳といい凄くいい。

全部が私の好みだ。


「君、女の子だよな。男とルームシェアしても平気なの?」


気だるそうに玄関のシューズボックスに寄り掛かりながら彼は尋ねた。

しかも大あくびしている。

でも、背は高いなぁ~。

きっと185cmはあるかも。


「聞いてる?君?」


私が見惚れてると、今度はあくびを噛み殺しながら尋ねてきて、じっと私を見てる。


そんな佇まいすら、やばい位、チョーカッコいい。


「あっ。えーと、平気よ。今まで男と同棲もしたことあるけど、トラブルなし」

「へぇ~!かっちょいー!」

彼はヒューと口笛を吹いた。


はぁ~。


同棲なんて、口からでまかせ言ってしまった。

男とルームシェアなんて平気ってことを強調したかっただけなんだけど、やり過ぎた。


ホントは、このボーイッシュなショートヘアとさばさばした性格が災いして、カレシいない歴19年を更新中なのにね。