5人が震える声で言い訳をする。


「…な、何もしてないよ…?」

「うん。久城さんと…は、話してただけだもんね」

「そ、そうそう」


皆、見た事の無い渉くんに怯えてる。


「あっ!もうこんな時間だ!帰らなきゃ…」

「ほ、ほんとだ!行こう!」


八坂さんの掛け声で皆一斉に走って行く。

体育館裏には、私と渉くんだけが残った。

走って行く5人を見ていた渉くんは、その姿が見えなくなるとくるっと私のほうを向いた。


「…早和ちゃん、大丈夫?」


心配そうにきいてくる。

その顔は、いつもの渉くんに戻っていた。

私はやっと体の力を抜く。


「大丈夫だよ。渉くん、助けてくれてありがとう…」


すると、渉くんは首を振った。


「お礼なんてもらえないよ。ごめんね、もっと早く来れたら…」