「…早和のケガが早く治りますように」
今の俺には、こんな事しかできない。
「…ごめんな…」
俺があの時早和から離れなければ。
もっと早く気付けていれば。
後悔は後から後から溢れてくる。
俺は、親父と昔話した事を思い出した。
――――――………
「ねえおとうさん。なんでおれはしゅぎょうしなくちゃいけないの?」
まだ早和にも出会っていないほど小さな頃、親父にきいた事があった。
俺は生まれつき力が強く、それを制御するために本当に幼い頃から陰陽師としての修業をしていた。
しかし小さかった俺はまだその意味がわからず、どうしてキツイ修業をしなければならないのかと親父に尋ねてみたんだ。
その時親父から返ってきたのは…
「そうだなぁ。それはな、明。お前が大きくなった時、守りたいと思えた人を守れるようになるためだ。明には、他の人には無い力がある。それを使っていつか大切な人を守れるようになりなさい」
温かく、力強い言葉。