「なんだよ」
くすくす笑っていると明が不機嫌そうな声を出しながら私の頬をつまんだ。
「いっ、いたいよぉ…」
「まだ笑うか」
「ご、ごめっ…。だってなんだか明が「お兄ちゃん」になってるから…」
「は…?」
明が意味不明とでも言うように眉を寄せる。
ちょっと見上げながら「だからね」と続けた。
「私といる時と陽ちゃんがいる時では顔が違うんだもん。「お兄ちゃん」の顔になってるから、なんかおかしくって」
「早和お姉ちゃんといる時の方が優しい顔してるんじゃない?」
ひょこんと顔を出しながら陽ちゃんが言う。
「そうかなぁ?私にはよくわかんないよ」
「ぜーったいそうだって!ねぇ、お兄ちゃん?」
「…どいつもこいつも…」
はぁぁ…と明が大きなため息をついた時、ひらりと蝶々が飛んできた。
「うげ。親父からだ」
ぽんっと蝶々から普通の紙に姿を変えた陽介おじさんの式を見て、明が呟いた。
いわく――――――………
―――そんな所で長々と立ち話をしてないでさっさと奥まで来なさい!ところで明、陽香から早和ちゃんを取り返せないようじゃまだまだだなぁ?もっと頑張らんとなぁ―――

