耳をあててそう声をかけると、いつも通りの明るいお母さんの声がした。
「あ、早和?今どこにいるの?」
「え?学校だよ?」
なんでそんな事を聞くのかとちょっと不思議になりながらも答える。
「そう。じゃあ明くんはいる?」
「うん。いるけど…」
ちらっと明を見ながら言うと、明が俺?とでもいうような顔をした。
「なら大丈夫ね。あのねぇ、今からちょっと私も裕也(ゆうや 早和の父)も出かけなきゃいけなくなっちゃったのよ。だから今日は明くんの家に泊まってねっ。」
「………ええっ!?」
ちょっと待って。
今さらっと言ったけど、泊まりって…!!
「昔から何度も泊まりに行ってるから大丈夫よね?向こうのおうちにはもう連絡してあるから。じゃあ明くんにもよろしく言っといてね!」
「ちょっ…!おかあさ…」
ブチッ…ツ―ッツ―ッツ―
切れちゃった…。
お母さん…絶対楽しんでますよね?
基本楽しい事が好きな人だからなー…。
「早和。…瞳(ひとみ 早和の母)さん、なんて?」
「…なんかね、今日は二人で出掛けなくちゃいけなくなったから明の家に泊ってね。…って」
「ああ…。でもまあ、ちょうど良かったんじゃねぇ?うちにいた方が安全だし」
言われてみればそうかも。
明の家にいたら普段より何倍も安全だよね。
なんたって現陽碧一族当主とその後継がいるんだもん。

