「え…っ?明、どうしたの?」
あまりにも硬いその表情に心配になって覗き込むように駆け寄ると、両手を取られてギュッと握られた。
下からのぞき見た表情はまだ強ばっていて、なんだか苦しそうにも見える。
どうしたんだろう。私が気がつかないうちに何かあったの?
明が自分を責めている時の表情にどこか似ている気がして、唐突に不安になる。
「あきら…?」
そっと呼びかけると、明は一瞬だけ辛そうに眉根を寄せて、口を開いた。
「どうした、は早和の方だろ…」
「え?」
言われたことの意味がわからなくてマヌケな声を出してしまった。
ポカンとしている私を見ても、やっぱり明は辛そうな顔をする。
なんで…?
「何か、あったのか?あんなに大勢の前で我慢しきれないで泣くほど、辛いことがあったのか?それとも怖いことか?早和、何があったんだ?」
「え?ちょっと待って、私…っ」
何を言われているのかわからない。
混乱して、でも何かがあったわけではないことは伝えないといけないと思って口を開いて、
―――ギュッ
「……っ!?」
突然自分を包み込んできた体温に、息を飲んだ。
え…?ちょっと待って、どういうこと?
私、明に………抱きしめられてる…?
あまりに急展開すぎて、頭がなかなか働かない。
でもこの体温はよく知ってる。いつもそばにいてくれる温度だ。
楽しいときも、嬉しいときも、悲しい時も、怖い時も、いつもそばにいてくれるあたたかさ。
頭が働かなくても、体が、理屈じゃないところでわかってた。
今、私を抱きしめてるのは、明だ。
「………っ」
思わずキュッと明の制服を握り込むと、さらに強く抱きしめられた。

