早和は、たぶん本人が思っているよりも力が強い。

だからこそ、へたに見える人間よりも力を欲しがる妖怪に狙われやすい。

そこで俺が早和を守ることになったんだ。


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『明。ちょっと来なさい』

『はーい。なぁに?お父さん』


俺がまだ6歳になったばかりの春。

庭の桜が満開の日にうちに客が来た。

その頃から俺は一族の中でも力が強く、それを制御するために小さな頃から陰陽師に必要な事を親父に叩き込まれていた。

でもその日はお客さんが来るからという理由で修業が無かったから俺は庭で遊んでたんだ。

その時に親父に呼ばれた。

親父の声がした方に走っていくと、親父と穏やかに笑っている品の良い夫婦、そしてその夫婦に挟まれるようにして小さな女の子がいた。


栗色の緩くウェーブがかかった髪。ところどころ毛先がくるんと巻かれている。

長いまつ毛が生えた大きな目は髪と同じ栗色で、少しハーフのようだと思ったのを覚えている。

形の良い唇はピンクで色白の肌に映えていた。

昔から精霊など、人外の並外れて綺麗なもの達を見慣れていた俺がつい見惚れてしまったほどの可愛い女の子…。


『明。お父さんはこのお嬢さんのご両親と話があるから、お前たちは二人で遊んで待ってなさい』


そう言われて、小さな女の子が一歩前に出る。


『わたし、くしろさわっていいます。あなたのおなまえは?』


その子…早和は花のように微笑んだ。


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これが、俺と早和の出逢い。