「…帰りたい」


ポソリと呟く。

目の前にはきらびやかな世界。

そう―――………

今いる場所は。


今夏2度目となるパーティーの会場…。


「おーい。まだ会場に入って5分も経ってないんですけど?」

「…だってぇ…」


どうしても、苦手意識が強いんだもん…。

こういう世界って、私には似合わないと思う。

慣れる日なんてくるのかな…。


「どうしても来なきゃダメだったの…?」

「早和は、裕也さんの娘だろ?仮にも、久城財閥の令嬢だろう…?」

「…うん」

「だったら、やっぱり来ないとダメだろ?将来的にも、たくさんの方々と顔見知りになっておいた方が良いんだぞ…?」

「…はい」



…とは言うものの。


「やっぱりむりぃ…」

「おいおい…」


しばらくするとまた泣きごとを言い出した私を見てふぅ…とため息をついた明。

そりゃ、私は挨拶してる明について行くだけだけどさ…。


「…どうして明はそんなに平気そうに挨拶とかできるの?」

「どうして…って言われても…」


明は、そう言ってちょっと困ったような顔をした。

そういう所までカッコいいって、なんか妬けちゃうな。

パーティーに来ているお嬢様方も、皆明を見ていくんだもん。



「じゃあ、どうして早和はパーティーがニガテなんだ?」

「へ…?」


ぼーっと考え事をしていたせいか…突然の質問返しに間抜けな声を出してしまいました。

なんで…って言われても…。