「久城早和…か。なかなか良いじゃないか」


ニヤリと口端を上げる。

視線の先には、幸せそうに寄り添い花火を見る早和と明の姿。


「憎き陰陽師…。主様のためにも、あの小娘を早く我が手中に収めねば…」


バサリと羽音が響く。


「さあ、準備は整いつつある。後少し残された時間を、せいぜい楽しく過ごすんだな」


密かに笑う声が、だんだんと大きくなる。

そして、再度バサリと羽が鳴った後には…



ただ、闇が広がっているだけだった。





歯車は静かに回り始める。
哀しく切ない記憶の復讐劇として―――………