…もう、最悪。
気分が、どんどん沈んでいくのを何とか抑えつつも自分の席に腰かけた。
でも、私は沈んでいく気分を抑えられなくなり机へと俯せになった。

…もう、最悪。
今日から楽しい学園生活が始まると思ってたのに…。
恋とか、オシャレとか…、私には輝かしい高校生活が待っていると思ってたのに…。

私は俯せになった体を持ち上げた。

まさか、神様からのイジメ!?
お前には輝かしい高校生活なんか待ってねーよ、バーカって神様が私にイジワルしてるの!?
…いや、ないないない!!
落ち着け、自分!!
…でも、無理ー!!

「あ、の…。大丈夫?」
私の考えを遮るように聞こえた少し低くて落ち着いた声。
声が聞こえたほうを向くと、少し引きつった笑顔で私を見ている男の子が隣に座っていた。

…私、もしかして自分が気がつかないうちに変な動きしてた?
もしかして、ひかれてる…?

「大丈夫、です?」
私が、そう曖昧に答えると男の子が爽やかな笑顔に変わった。
「…よかった。でも、緊張するよね」
…声まで爽やかだ。男の子からは緑のオーラが見える、気がする。
「はい、中学一緒の子、居ないんで余計に…」
「僕もだよ。…僕、斎藤逞って言うんだけど君は?」
人懐こそうな笑顔で私に斎藤逞君は尋ねた。
話しやすい人だなあ…。
多分、差別とかしないんだろうな。
ステキだ…。
あの、竹内廉とは大違い。

そして、私は朝の出来事を思い出してしまった。
…やめよう。

「私は、仲谷舞です」
「あ、タメ口でいいよ。クラスメートなんだし」
と言い、斎藤逞君は更に笑った。
…やっぱりステキだ。
そうだよね。一人、最悪な男がいるからって落ち込んでちゃ駄目だよね。
世の中、そりゃあ一人や二人、最悪な男はいるよねー。
でも、斎藤逞君みたいなステキな人もいるわけだしっ!!