「おはよ」
葵と私が恋ばなをしていると斎藤君が私達に声をかけた。
振り向くと別世界の空間が広がっていた。
…やっぱり爽やかだ。

「お、おはよっ」
そう言うと斎藤君はニコッと笑って席に着いた。
私と斎藤君のやり取りを見ていた葵は耳元で、
「斎藤君なんてどう?」
と囁いた。
それを聞いた私は自分でも顔が赤くなっていくのが分かった。

「ええ!?何で!?」
と咄嗟に言うと、葵はニヤニヤとした顔で私を見る。
「だって、昨日、斎藤君み…」
葵が言葉を言っている最中で葵の口を塞いだ。
危なかった。
「…俺が何だって??」
不思議そうに尋ねる斎藤君。
良かった、気づいていないみたいだ。
「いや、こっちの話~」
と言い、何とかごまかした。

私と葵はトイレへと向かった。
いや、私が無理矢理葵の腕を掴み連れていっているだけだけど…。

トイレに入って早々、私は葵を怒った。
「もう、葵の馬鹿!!」
「ごめ~ん。でも、斎藤君みたいな人がタイプなんでしょ~?」
と、最初は反省している兆しを見せていた葵は笑って私をおちょくる。
…絶対、ごめんって思ってないな。

「あれは、言葉の彩ってやつで別に好きとか、そう言う意味では無いから!!」
と私が怒鳴ると葵は、残念そうな顔をし「なーんだ」
と少し溜め息混じりに言った。
キーンコーンカーンコーン
とタイミング良くチャイムが鳴り、私達は教室へと戻った。

隣には斎藤君。
肩と肩がくっつきそうな距離に思わずドキドキした。
…もう!葵が変なこと言うから、なんか斎藤君のこと意識しちゃうじゃん!!